2023年10月に発売されたSOUNDPEATS Air4 Pro ワイヤレスイヤホンの使用レビューです。高音質で多機能ながら8000円台で購入できるコスパ抜群のワイヤレスイヤホンです。
特徴
チップ
Qualcomm® の完全ワイヤレスイヤホン用チップQCC3071を搭載しています。LE AudioとCD-Lossless(16ビット44.1kHz)に対応したチップです。Snapdragon Soundに対応しているので対応スマホと接続した時の連携がより密になり、高音質で切れにくい、低遅延な環境で音楽を楽しめます。
※Air4 ProではLE Audioは発売当初は無効に設定されています。将来的に有効にできるようになる見込みです。
対応コーデック
基本的なコーデックSBC、Appleデバイスで良く使用されるAACに加え、Androidでよく使用される高音質コーデックaptX、aptX adaptive、aptX Losslessに対応しています。
aptX
aptXはQualcommの開発したコーデックで高音質で低遅延なのが特徴です。Androidスマートフォンでよく使われています。
aptX adaptive
aptX adaptiveはaptXの派生コーデックで、環境の変化に合わせて自動的にビットレートを調整することで途切れやノイズの低減を実現しています。
aptX Lossless
aptX LosslessはCD音質(16ビット/44.1kHz)をロスレス=損失なしの無劣化で再生できるコーデックです。非可逆圧縮とは異なり、可逆圧縮方式ですので、転送された音データそのものを復元してその通り再生可能です。
aptX Voice
音声再生用ではなく、通話時のコーデックですが、通常音声サンプリングレートは8〜16kHzのところ、aptX Voiceはその2倍から4倍に当たる32kHzに対応しているため、高品質での通話が可能になります。
※これらのコーデックを利用するには対応するスマートフォンが必要となります。
ドライバー
音を鳴らすドライバーユニットに新素材を使った13mmダイナミックドライバーを採用しています。一般的にドライバーのサイズが大きくなると重低音を出しやすくなり、音質の面でも有利だと言われています。Air4 Proが搭載しているドライバーは13mmで大口径の部類に属しますので、低音から高音まできれいな音を出すことができます。
外観
パッケージ・同梱物
コンパクトなパッケージを開けると、上蓋に説明書が入ったケースがはまっていて、下にはイヤホンケースが配置されています。イヤホンケースが入っているプラスチックの仕切りを取り外すと、中にUSBケーブル、イヤーチップが収納されています。プラの仕切りは一見下に何も入らなそうな印象を与えますが、しっかり収納されていますので見落とさないように注意が必要です。
カナル型イヤホンのため、イヤーチップは3種類のサイズが同梱されています。イヤホンの中には使い切れないぐらいの種類のイヤーチップが付属しているものもありますが、Air4 Proに付属するサイズは3種類と控えめです。それほど多くはないものの大抵のニーズには応えられるサイズ展開になっています。
付属のUSBケーブルは、Type-A→Type-Cで長さは約20cmと短めです。
ケース
ケース表面は光沢のある質感ですが指紋は目立たないよう加工されています。SOUNDPEATSの文字がヒンジになっています。
ケースは横置きで上部の蓋をパカッとヒンジを軸に180°回転して開けるタイプのケースです。
ケース自体にバッテリーが内蔵されており、イヤホンを収納するとケースのバッテリーからイヤホン本体のバッテリーに充電が行われます。ケースを開けるとケースのバッテリー残量がLEDインジケータで表示されます。
底面にはケース充電用USB Type-Cの端子とペアリングやリセット用のボタンがあります。
バッテリー残量 | LED表示 |
---|---|
100%-50% | 緑色 |
49%-10% | 黄色 |
10%未満 | 赤色 |
本体
Air4 ProはAir4/Air4 Liteと異なりカナル型の左右独立完全ワイヤレスイヤホンです。イヤーチップ部と丸みを帯びた本体に、スラっと伸びたスティックがついた形状となっています。形状的にはAirPodsのようなスティック型で耳の外に伸びる形ですが、長さは抑えられています。本体部分もコンパクトで軽さに寄与しています。
スペック
項目 | 詳細 |
---|---|
重さ | 約3g(イヤホン単体)、36g(本体) |
サイズ | 34.4x24x20.7mm(イヤホン) 64×24.2×48.3mm(本体) |
防水規格 | IPX4 |
通信規格 | Bluetooth 5.3 |
Bluetoothチップ | Qualcomm® QCC3071 |
対応コーデック | aptX Lossless / aptX adaptive / aptX AAC / SBC |
充電方法 | USB Type-C |
バッテリー容量 | 35mAh(イヤホン)、330mAh(ケース) |
ドライバーサイズ | 13mm |
周波数応答 | 20Hz – 20kHz |
再生可能時間
イヤホン本体のみ | 充電ケース使用時 | |
---|---|---|
通常モード | 6.5時間 | 26時間 |
ノイズキャンセリングモード | 4〜4.5時間(実測) | |
外音取り込みモード | 未チェック |
充電時間
イヤホン | 1.5時間 |
ケース | 2時間 |
機能
アダプティブANC
アダプティブ・アクティブノイズキャンセリング機能が搭載されています。アクティブノイズキャンセリング(ANC)とは、イヤホンに搭載されたマイクで周囲の音を検知し、逆の波形の音を生成することで騒音を打ち消す技術です。
Air4 Proでは可聴域において最大48dB(特定の条件でクアルコム社による測定値)のノイズ低減を実現しています。
アダプティブANCにより、音漏れのレベルや周囲の環境、イヤホンのフィット感に応じて自動的にノイズキャンセリングの強さなどが調整されます。
通話ノイズリダクション
イヤホンの内蔵マイクを通話に使う時、自分の声を相手に聞こえやすくするためのノイズリダクションが搭載されています。音声をきれいに集音する「クリアーボイスキャプチャ(CVC)」、エコーの発生を防ぐ「エコーキャンセリング」、周囲の騒音を低減する「ノイズリダクション」などの機能により、音声を聞きやすい形で届けることができクリアな通話を実現できます。
風切り音低減
通話の際に入ってしまう風切り音を低減させるノイズキャンセリング技術が採用されています。外で使用したり、扇風機の風が当たる状況で喋っても耳障りにならないようになっています。
装着検出
耳から外すとそのことを検知して自動的に再生を一時停止する装着検出機能に対応しています。再度装着すると再生が再開されるので、耳から外したりつけたりする時に操作する必要がなく便利です。
外音取り込み
マイクで拾った音をイヤホンのスピーカー部分から流すことで、外の音を聞き取れるパススルーモードも搭載しています。音楽を聞きながら、会話やアナウンスなど外の音を取り込んで聞くことができるため、会話する時や、アナウンスを聞き逃したくないときなどに便利です。
片耳モード
片方のイヤホンだけで音楽再生/通話を行えるため、片方がバッテリー切れになったときも、もう一方だけで使い続けることができます。左右交互に充電しながら使って、合計使用時間を伸ばすということも可能です。
防水性能
イヤホン本体はIPX4の防水性能を備えています。IPX4は水の飛沫がかかっても問題ないという等級ですので、雨やシャワーぐらいであれば耐えられるということになります。なお、ケースは防水ではありませんので濡らさないように注意が必要です。
価格
通常価格は8,480円です。
コストパフォーマンス
このAir4 Proのすごいところは、ノイズキャンセリングを筆頭に、aptXの各高音質コーデックや装着検出など完全ワイヤレスイヤホンに求められる機能を満載しつつ、価格を1万円以下に抑えているところです。「全部入り」なのにこの低価格。まさにコスパの塊のようなワイヤレスイヤホンです。
比較
他のワイヤレスイヤホンと比較
SOUNDPEATSからはAir4シリーズとして「Air4」「Air4 Lite」がすでに発売されています。このラインナップに「Air4 Pro」が加わりました。
大きく違う部分を表にしてみました。
Air4 Pro | Air4 | Air4 Lite | |
---|---|---|---|
形状 | カナル型 | インナーイヤー型 | インナーイヤー型 |
対応コーデック | aptX Lossless / aptX adaptive / aptX AAC / SBC | Air4 Proと同じ | LDAC / AAC / SBC |
Bluetoothチップ | QCC3071 | QCC3071 | WQ7033AX |
Adaptive ANC | 対応 | 対応 | 非対応 |
aptx Voice | 対応 | 非対応 | 非対応 |
装着検出 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
風ノイズ軽減 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
価格 | 8480円 | 8980円 | 7380円 |
発売日 | 2023年10月25日 | 2023年7月 | 2023年7月 |
Air4 ProがAir4とAir4 Liteの両方と異なる点は1.カナル型であること、2.aptx Voice、装着検出、風ノイズ軽減に対応している点です。カナル型かインナーイヤー型かは好みの問題もあり、どちらが良いということはありませんが、2.の各機能は付いた事によるデメリットはないので完全に上位機能と言えます。
Air4と比較すると、使用チップが同じですので、コーデックは同じくaptX Lossless / aptX adaptive / aptXに対応しており、ノイズキャンセリング対応も共通しています。異なるのは上述の付加機能がAir4 Proには搭載されている点です。
Air4 Liteとは使用チップが異なるため、Air4 ProはLDACには対応しない代わりにaptXに対応しています。またノイズキャンセリングはAir4 Liteは対応していないのに対し、Air4 Proは対応しています。
こうしてみると、Air4 ProはAir4の機能的にも上位モデルと言えるにも関わらず、価格がAir4よりも安いという、お買い得なモデルになっていることがわかります。インナーイヤーにこだわらないのであれば、Air4(無印)を買う理由はどこにも見当たりません。
使用感
フィッティング
イヤホンの重量が軽いためか、装着感は軽く、つけ心地はまずまずです。自分の耳に合うイヤーピースを選べばしっかりフィットして、落ちることはありません。私は右耳は購入時のイヤーピースのままで、左耳はSサイズのものに付け替えています。長時間つけていると左耳だけ痛くなっていたのですが、イヤーピースを変えたら解消されたので、左右で違うサイズを試すのもありかもしれません。
ペアリング
ケースのボタンを長押ししてペアリングモードにして、iPhoneのBluetooth画面から「SOUNDPEATS Air4 Pro」を選ぶだけで問題なくペアリングできました。
同時に2つの機器に接続するマルチポイントにも対応しており、私はiPhoneに加えてMacbook Airともペアリングさせています。iPhoneで「SOUNDPEATS Air4 Pro」との接続を解除するとペアリングモードになるため、その状態でMacbook Airでペアリングを行い、その後iPhoneでの接続を再度行うことでマルチポイント接続が行えました。
iPhoneとMacbook Airとペアリングしている状態でもう一つの機器(iPad Air)にペアリングしたらどうなるのかを試してみました。方法としてMacbookの方で接続解除するだけではiPad AirのBluetoothデバイスリストに出てこなかったので、Macbook Airのデバイスのペアリングを解除し、iPhoneとの接続を解除したところペアリングモードとなりiPad Airでペアリングが行えました。その後iPhoneで接続することでiPhoneとiPadでのマルチポイント接続が行えました。
ちなみに説明書には「Aデバイス(最初にペアリングしているデバイス)のBluetooth機能をオフにして」とありますが、すでに接続しているデバイスが2台ある場合は、ペアリングを変えたい機器はペアリングの削除(登録解除)をした上で、ペアリングしたままにしたい機器の「接続解除」を行う必要があります。その状態にすることでペアリングモードになりますので、別の機器にペアリングを移すことができます。
その後、何回か試したところペアリングしている2台共接続を解除した際にペアリングモードになり、3台目のペアリングを行うことができました。もちろんその場合でも同時接続できるのは2台までで、3台目を接続しようとしてもできませんでした。
マルチポイント接続状態の場合、再生を開始するとその機器の音声に切り替わり、それまで再生していた方は停止します。ミックスされて流れるわけではありません。
蓋を開けるとペアリングしている機器に自動的に接続されます。マルチポイントの場合は2台に少し時間差で接続されます。毎回多少ムラがありますが1台目は蓋を開けてから6〜9秒ぐらいで、2台目には8〜11秒ぐらいで接続されます。
接続される順番は、MacbookとiPhoneの場合は常にMacbookに先に繋がり、その後iPhoneという順番でした。iPhoneとiPadの場合はiPhone→iPadという順番でした。これはペアリングをやり直してペアリングする順番を変えたりしても変わりませんでした。順番に法則性があるのかどうかは不明です。
3台ペアリングしている状態では、1台とのみ自動接続され、2台目、3台目とは接続されなかった時もあれば、最後に接続していた2台と自動接続される場合のパターンに分かれました。
最後に接続していた2台と自動接続される場合の順番は以下のような傾向が見られました。
1. iPad と Macbook に接続していた場合、 Macbook → iPadの順
2. iPhone と iPad に接続していた場合、 iPhone → iPadの順
音質
音質については、それぞれ感じ方、好みの音に個人差があって統一された基準がないので、私のレビューもあくまで個人的な感想としてお読みいただければ幸いです。
イコライザをフラットにして音楽を聞いたときの感想は、「あまり味付けのない、良く言えば率直な、悪く言えばのっぺりした音だな」というものでした。とはいえ、悪く行っているわけではなく、原音を忠実に再現して変に音をいじってドンシャリにしていないところに好感を持ちました。
私はオーディオマニアではなく、いわゆる高級ヘッドホンやイヤホンで音を聞いたことがない人間なので、これが絶対的な意味で「良い音」であるとは断言できないのですが、相対的に、私が聞いてきたイヤホンやヘッドホンの中でいえば「良い音」の部類に入ります。
長時間聞いていても疲れない、優しい音という印象です。
ノイズキャンセリング
ANCの効きは結構強めで、サーキュレーターなどの環境音はかなり低減されます。ANCをオンにしたり、ANC音の状態でイヤホンを装着すると、周りの音がふっと消えるのがわかります。他のANCイヤホンと比べてみてもノイズキャンセリングの出来は良いです。もちろん無音になるわけではないし、小さな音も聞こえるけど、結構音量レベルが下るといった感じです。
外出先のフードコートでもノイズキャンセリングを試してみました。そこまでにぎやかな場所ではないものの、店内のBGMや人の話し声、空調音、調理の音など様々な音が行き交っている場所です。それでもANCをオンにした瞬間、周りの音が遠くなり、音圧が下がるのを感じました。もちろん周囲の音が聞こえなくなるわけではないですが、自分がその場所から離れて、遠くで聞こえているような聞こえ方です。自分は底にいるにも関わらず、隔絶された別の世界に行ったような不思議な感覚です。
なお、片耳使用の場合はANCはオフになります。ただその場合も、あまり意味はありませんがANCモードを片方だけオンにすることは可能です。その場合片方だけイヤホンのノイズキャンセリングが効き、もう片方からは外の音がそのまま入ってくる状態になるので全体としてノイズキャンセリング効果は得られない状態となります。
タッチコントロール
タッチコントロールは左右それぞれ1回タップ、2回タップ、3回タップ、長押しに機能を割り当てることができます。反応は良く、ストレスなく操作できます。
タップの種類 | 左 | 右 |
---|---|---|
1回 | 音量下げる | 音量上げる |
2回 | 再生/一時停止 電話を受ける/切る | 左と同じ |
3回 | ゲームモードの切り替え | 音声アシスタント(Siri/Google)起動 |
長押し | ANC・外音取り込み切り替え(1.5秒) 着信拒否(1.5秒)・通話切り替え(2秒) 電源オフ(10秒) | 曲送り(1.5秒) 着信拒否(1.5秒)・通話切り替え(2秒) 電源オフ(10秒) |
アプリで「タッチキーのすべての機能を無効にする」設定にはできますが、タップしたときの操作変更などの細かな変更はできません。全くタッチを使わないか、さもなければ全てのタッチ操作が有効になる2通りしか設定ができないため、1回タッチだけを無効にするなど細かなカスタマイズができたら良いと思いました。
通話品質
内蔵されているマイクを使って通話をする場合の音声品質はそこまで悪くない感じです。少なくとも聞き取れなかったり、聞いていて疲れるような明らかに音が悪いということはなく、十分な音声品質を確保している印象です。もちろん有線のマイクの音質と比べてしまうと歴然とした差があるわけですが、帯域という壁があるのでそこを比べるのは酷かと思います。
Air4 Proのマイクを使って録音した音声サンプル
帯域が広ければそれだけ豊かな音になりますが、ビットレートが大きくなり無線では転送できなくなるため、こういったワイヤレスイヤホンの通話用の帯域は有線マイクが使える帯域よりも狭くなり、それが音質の差に影響してきます。
つまりマイクがいくら良くても、通信の際にデータ量を減らすためサンプリングレートを大幅に落とす必要があり、その結果貧相な音になってしまうわけです。
有線マイクのフォーマットは2ch 16bit 44100Hzや48000Hzですが、ワイヤレスイヤホンのフォーマットはMacのAudio MIDI設定で見ると1ch 16bit 16,000Hzとなっていました。
Bluetoothの通話用プロファイルHFPのサンプリングレートは本来8kHzですが、Wide Band Speech(HD Voice)と呼ばれる16kHzに拡大した規格がHFP 1.6以降使えるようになり、Air4 Proも16kHzで接続できていることからHD Voiceに対応しているようです。(Air4 Proが実際に採用しているHFPのバージョンは不明です)
BluetoothのHFPを使用するどのワイヤレスイヤホンも基本的にはこのプロファイルによる制限があるためどれも似たりよったりの品質になってしまうのは致し方ないところです。そうした中でAir4 Proも規格の制限の中でということを考えれば十分高品質な音質といえます。
ちなみに、Air4 Proはサンプリングレート32kHzに対応したaptX Voiceに対応していますので、対応機種であれば更に高音質で音声を届けることが可能です。残念ながらaptX Voiceに対応した機種で試すことができていませんが、機会があれば試してみたいです。
遅延
Youtubeなどの動画を見る分には、音声と映像を同期させる仕組みがあるおかげで遅延は全く気になりません。
ゲームをあまりしないのでゲームについては不明ですが、動画広告などでミュート/アンミュートを切り替えたときの反応速度はちょっとラグを感じるぐらいでした。
ゲームモード
遅延を減らすゲームモードも用意されています。その場合、遅延は88msに短縮されます。元々そこまで遅延があるわけではないので、ゲームモードをONにしても、「そういわれれば確かにちょっと早くなったかも」という程度の効果にとどまりました。タイミングがシビアなゲームなどで確認すればもっと違いを体感できるのかもしれません。
電波
Bluetoothの電波到達距離は10mとなっています。きっちり計測はしていませんが、体感としてそのぐらいだろうという感じがします。木造住宅で2階に置いてあるMacbookから1階に降りて行っても部屋の真下であれば繋がっていました。流石に家の隅に行くと途切れ途切れになり、最終的には切断されてしまいました。(近くに戻ったら自動的に再接続されました)
バッテリーの持ち・充電
公称値はイヤホン単体で6.5時間となっていますが、ANCオフの状態で、実測したところ右は6時間50分で、左は7時間10分で電源が切れましたので、公称値以上にバッテリーは持つことが確認できました。
ANCオンの状態でもバッテリーの持ちを計測してみました。マルチポイント接続の状態で音量は10%ぐらいの小音量で音楽を流したところ、大体3時間ぐらいで残量が50%になり、右は4時間6分、左は4時間36分ぐらいで電源が切れました。ノイズキャンセリングをONにすると、ノイズキャンセリングOFFの場合の6割ぐらいしかバッテリーが持たなくなってしまう結果となりました。4時間ちょっとでバッテリー切れになるので、ノイズキャンセリングを常用する方は要注意です。
どちらとも左のイヤホンの方がもちが良く、20〜30分ぐらい再生できる時間に差が出ました。左右でも個体差があるということも留意しておく必要がありそうです。
また、バッテリー残量も%表示がありますが、均一に減っていくわけではありませんでした。最初はあまり減らないのですが、50%を切ってからは結構速いペースで%表示が減っていきます。同じ様に音楽再生をしているので電力消費は一定のはずですが、残量の表示の減りは一定ではないので、「この調子なら結構持ちそう」と思っているとあっという間に無くなっていることがありえます。
イヤホン本体のバッテリーが切れても、ケースにバッテリーが搭載されていてケースからイヤホンへ充電できるため、連続で6時間など使う環境でない限りバッテリーの持ちはあまり気にしなくても困らないかと思います。
イヤホンのバッテリーを使い切った状態でケースに入れて充電したところ、公称値通り1時間30分後には100%まで充電できていました。
アプリ
SOUNDPEATSのアプリを入れると、イヤホンの各種設定が行なえます。ただ、使用するためにはメールアドレスの登録が必要です。私はメールアドレスの登録に拒否感はないのですが、このアプリやイヤホンの使用にアカウント登録が絶対に必要とは思えないので、メールアドレスの登録無しでも使えるようになると良いかと思います。
イコライザの調整
イコライザーには3種類あり、聞こえ方のテスト結果に応じて調整が行われる「アダプティブイコライザ」、9種類の事前設定された設定から選ぶ「プリセット」、周波数ごとに個別に自由に設定できる「カスタマイズ」から選択できるようになっています。
アダプティブイコライザ
最初に聴力測定のように、様々な周波数の音が流され、聞こえたらタップすることで自分の耳の特性を測定して、その結果に応じて特定の周波数を上げたり下げたりした自分の「イコライザープロファイル」作成を自動で行ってくれます。
私の場合、上のようなプロファイルになりました。
プリセット
事前設定されたプリセットは全部で9種類あります。
イコライザー(EQ)カスタマイズ
20Hz〜12kHzの間の9つの周波数それぞれの強弱をスライダーで自由にいじることが可能です。
ノイズキャンセリングモードの切替
「ANC(アクティブノイズキャンセリング」、「通常モード」「外音取り込みモード」の3つのモードを切り替えられます。
ゲームモード切り替え
低遅延のゲームモードに切り替えられます。
タッチキーのすべての機能を無効にする
イヤホンをタップして音量調整や再生の停止などのコントロール機能を無効にする設定が行なえます。
装着自動検出
イヤホンを耳から外すと再生が停止し、再度はめると再生が再開する「装着自動検出」機能のON/OFFを切り替えられます。
イヤホンとの接続に難あり
Bluetooth接続しているのにもかかわらず、アプリ側ではイヤホンの情報が取得できず、バッテリー残量などが表示されない状態になることが増えてきました。しばらく時間が経ってからアプリを再度開くと直ることもありますが、ずっと取得できない状態のままの時もあります。
この状態でも設定画面は開けますが、実際のイヤホンの状態が反映されていない状態となります。イコライザーの設定などをいじると、情報が反映されて正常に設定ができるようになることもあります。
使い始めて最初の頃は、この症状が出ることはあまりなく、しばらくすると正常に情報が反映されることも多かったのですが、使っているうちに次第に情報取得ができないことが多くなり、ついにはほぼ100%の確率で症状が出て、時間経過しても改善することもなくなりました。
接続解除やペアリング解除などを試しても改善は見られませんでした。この状態ですとスマホからバッテリー残量が見られなかったり、各種設定が行えず不便です。ファームウェアアップデートや、イヤホンのリセット(ケースのボタン10秒間長押し)などをしてもだめでした。
このあたりのアプリの安定性はバージョンアップで改善されることを期待したいです。
まとめ
ANCやマルチポイント、といった機能の豊富さもさることながら、イヤホンとして大切な音質も確保しており、非常にバランスのとれたワイヤレスイヤホンになっています。
全部入りと言える機能を持ったワイヤレスイヤホンをこの値段を出せるのはメーカーがかなり努力しているからだと思います。以前は2万円以上するイヤホンでないとついていなかったノイキャンも、気がつけば1万円以下の商品にも搭載されてきており、価格競争が激しくなってきている感じがします。我々消費者としては、良いものを安く買えるので良い時代になってきたと言えます。
私はiPhoneとMacbook Airとのマルチポイントで使用していますが、切り替えもスムーズでAnkerのSoundcore Liberty Air 2 Proで感じていた切り替えの不便さが完全に解消されて、「これならAirPodsは不要だな」と感じました。3台以上接続切り替えして使いたい人にとっては何台でも接続切り替えできるAirPodsは便利ですが、2台までだったらマルチポイントで十分対応できることが分かりました。
総合的に見てコスパの高い、多くの人におすすめできるワイヤレスイヤホンです。
今回レビューしたワイヤレスイヤホンはSOUNDPEATSからご提供いただきました。
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